レンブラント・ファン・レイン
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Rembrandt (1606−69)
オランダ   バロック、17世紀オランダ絵画

ルーベンスが古典的で国際的な人間であったのとは対照的に、レンブラントは根っからのオランダ人であった。レンブラントの視線は、古代ではなく、自分自身へと注がれた。
50〜60枚に及ぶ自画像は、レンブラントの人生のあらゆる段階の感情を如実に示すものである。


レンブラントは粉屋の息子であった。中流階級の出身である。
そして中流階級が台頭してきた時代でもあった。
中流階級は肖像画や勤労生活の情景など、リアリズム的が絵画を好んだ。

レンブラントの絵の特徴は、ストーリー・テラー的な絵画である。
肖像画でさえ、何らかの「物語」的要素が入っている。

多くの肖像画の注文でお金を手にすることになるが、レンブラントの洞察は人間の内面に向けられ、かつその執念が強かったので、結局は、成功者という地位から引きずり降ろされていく。

預言者エレミア    
1630  Oil on panel 、58.3 x 46.6 cm  アムステルダム国立美術館
*預言者エレミア

四大預言者の一人。エルサレムが廃墟になる。バビロンの王に降伏するようにと預言した。王ゼデキアはエレミアを捕らえて殺そうとしたが、神がエレミアを助けた。

王ゼデキアは預言を聞き入れなかっので、エルサレムははバビロニアに滅ぼされ、ゼデキアはバビロニアの王ネブカドネツァルに捕らえられ、殺される。

絵画では、自分の預言を信じてもらえない、預言者の嘆きを描いている。

ラザロの蘇生          
1630   Oil on panel 、96.2 x 81.5 cm    Los Angeles County Museum of Art 、Bredius 538
*ラザロの蘇生
マリアとマルタの兄弟ラザロが、病気であった。姉妹たちはイエスのもとに人をやって、それを知らせた。イエスはマリア、マルタ、ラザロを愛していた。
イエスが行くと、四日前にラザロは亡くなっていた。イエスは涙を流し、どこに葬ったか訊ねた。
墓は洞穴で、石でふさがれていた。イエスはその石を取りのけるよう言った。マリアは「四日もたっていますから、もうにおいます。」と言った。イエスは、信じるなら神の栄光がみられる、と言った。
人々が石を取りのけると、イエスは天をあおいで言った。「父よ、わたしの願いをいつも聞いてくださることを、わたしは知っています。あなたがわたしの願いを聞き入れてくれるのは、周りの人々に信じさせるためです。」こう言ってから、「ラザロ、出てきなさい」と叫んだ。
するとラザロが、手と足を布で巻かれたまま出てきた。顔は覆いで包まれていた。イエスは周りの人々に「ほどいてやって、行かせなさい」と言った。
死から蘇ったラザロを見るため、大勢のユダヤ人が集まってきた。そして、イエスを信じるようになった。しかし、祭司長やファリサイ派の人々は、皆がイエスを信じるようになったら、ローマ人が来て、我々の神殿も国民も滅ぼしてしまう、と言ってイエスの暗殺計画を進めた。

学者
1631  Oil on canvas  104.5 x 92 cm  エルミタージュ美術館

Portrait of Nicolaes Ruts
1631  Oil on panel  118.5 x 88.5 cm   The Frick Collection, New York

哲学者の瞑想
1632  Oil on wood  28 x 34 cm  Musee du Louvre, Paris

キリスト昇架
1633  Oil on canvas  96.2 x 72.2 cm  アルテピナコテーク、ミュンヘン

十字架降下
1634 Oil on canvas  158 x 117 cm  エルミタージュ美術館 サンクト・ペテルブルク  ロシア

アルテミシア
1634  Oil on canvas  142 x 152 cm プラド美術館、マドリード

イサクの犠牲            
1634  Oil on canvas  158 x 117 cm  エルミタージュ美術館
*イサクの犠牲

砂漠の神は非情である。

神は、アブラハムの信仰を試すために、息子のイサクをモリヤの丘の岩で、焼いて神に捧げなさい、というのである。

ついにアブラハムは決心して、イサクを丘へ連れて行った。

アブラハムがイサクを小刀で殺そうとする、その瞬間に、天使が現れその手を止めた。

神は言った。「あなたが神を恐れる者であることが分かった」。

息子は救われた。


レンブラントが描いたアブラハムの手を見てもらいたい。
息子の顔を覆っている。
自分の息子を殺さなければいけない・・この苦しみがとても出ている。

比較としてカラヴァッジョの絵を見ていただきたい。
レンブラントの絵の深さ、ストーリー・テラーと言われる所以である。

居酒屋の放蕩息子(レンブラントとサスキア)
1635  Oil on canvas 161 x 131 cm  ドレスデン国立近代絵画館

ベルシャザルの酒宴
1635  Oil on canvas  167 x 209 cm  ロンドン・ナショナル・ギャラリー
*ベルシャザルの酒宴
ダニエル書より

ベルシャザルは、紀元前6世紀、バビロニア王の息子。
エルサレムのソロモン宮殿から盗んだ金銀の酒器で宴会をして、異教の神々に乾杯した。

突然、空中に指が現れ、壁に「メネ、メネ、テケル、ウパルシン」と書かれた。

預言者ダニエルが呼ばれ、この文字の意味を解く。
それは、バビロニア王国が没落して、王は死ぬ、という意味だった。

その夜、ベルシャザルは殺され、ペルシア人ダイオレスが王国を継ぐことになった。

この物語は、紀元前2世紀、ユダヤ人が迫害に苦しんでいたとき、彼らを鼓舞するために書かれたとされる。
ベルシャザルは異教の支持者、反キリストの代表者となっている。

目をつぶされるサムソン   
1636    Oil on canvas 206 x 276 cm  シュテーデル美術研究所 、フランクフルト、ドイツ
*サムソン

サムソンは士師記のヒーローである。驚くほどの力を持っていた暴れ者である。この時代、イスラエル人は神の制裁の下、ペリシテ人に支配されていた。

サムソンを打ち負かそうとした敵は、デリラという美しい女性を彼に送った。彼女はサムソンの弱点を探し出した。それは、彼の髪であった。

サムソンが眠っているときに、彼女はサムソンの髪を切り、敵に渡した。敵は即座にサムソンの目をくり抜いた。しかし、サムソンの髪が伸びてくると力を取り戻し、仇を討った。

トビアスやその家族と別れる天使
1637  Oil on wood  66 x 52 cm  ルーブル美術館

自画像
1640 Oil on canvas  102 x 80 cm  ロンドン・ナショナル・ギャラリー

聖家族
1640  Oil on wood  41 x 34 cm  ルーブル美術館

メノー派牧師コルネリス・クラースゾーン・アンスロとある女性の肖像
1641 Oil on canvas  176 x 210 cm  ベルリン国立美術館

夜警
1642  Oil on canvas 363 x 437 cm   アムステルダム国立美術館

ダヴィデとアブサロムの和解
1642  Oil on panel 73 x 61.5 cm   エルミターシュ美術館

長老たちに脅かされるスザンナ
1647 Mahogany  76.6 x 92.7 cm  ベルリン国立美術館

百グルテン版画
1647-49  Etching and drypoint, 1st state  27.8 x 38.8 cm  アムステルダム国立美術館

黄金の兜の男
1650  Oil on canvas  67 x 50 cm  ベルリン国立美術館

風車
1650   Oil on canvas 87.5 x 105.5 cm   National Gallery of Art, Washington

ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス
1653  Oil on canvas  143.5 x 136.5 cm  メトロポリタン美術館、ニューヨーク

バテシバ       主題解説:聖書の物語へ行く
1654  Oil on canvas   142 x 142 cm  ルーブル美術館
*バテシバ

賢王ダビデのただ一つの罪の話である。

ダビデは多くの妻をめとった。その中にバテシバがいる。

バテシバは人妻であった。ダビデはたまたま彼女の入浴を見て、一目ぼれしてしまった。

ダビデは彼女の夫を殺し、バテシバを妻にした。神の怒りにふれたダビデは、息子を次々と失った。

しかし、バテシバとの間に生まれた第ニ子ソロモンは王の後を継いだ

水浴するヘンドリッキュ
1654  Oil on panel  61.8 x 47 cm ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ヤン・シックス (レンブラントの友人で、詩人、アムステルダム市長)
1654  Oil on canvas  112 x 102 cm  シックス・コレクション 、アムステルダム

ポテパルの妻から訴えられるヨセフ            主題解説:聖書の物語へ行く
1655  Oil on canvas   106 x 98 cm   National Gallery of Art, Washington
『ヨセフを告発するポテパルの妻』は旧約聖書の創世記に出てくる物語の一場面である。ヨセフの物語はとても長いので、かいつまんで話すと、こうである。

エジプトの軍隊長で、年がかなり上のポテパルと、その若い妻、そしてハンサムなユダヤ人の奴隷、ヨセフ。年若い妻がヨセフを誘惑するが、ヨセフはそれを拒否する。怒った若妻が逆にヨセフを訴えるのである。ちょうどこの絵の場面である。

絵を見ただけで、この3人の関係がよく分かるし、性格まで分かってしまう。そこがレンブラントのすごいところである

中央の若い女性の顔は、とてもずるそう、悪賢そうである。表情に悪意がにじみ出ている。
しかし、彼女の指を見てもらいたい。ヨセフを指さしてはいない。おそるおそるヨセフの赤い上着を指さしている。
明らかに彼女は動揺している。
若い男に拒否されたという動揺と、自分の人生そのものに対する動揺。

右側に立っているのは夫であるポテパルである。若妻からの訴えに動揺している。ヨセフの外衣に目がいく。妻を信じていない夫。

左側で静かに立っているヨセフは、どんなことがあろうとも、言い訳をしない。神を信じ、すべてを任せている。

ヨセフはポテパルが彼女の芝居を無視できないことも理解している。犠牲者として、この状況を静かに受け入れている。

自画像
1658  Oil on canvas  133.7 x 103.8 cm  Bredius 50  フリック・コレクション、ニューヨーク

イーゼルの前の自画像
1660  Oil on canvas  111 x 90 cm  ルーブル美術館

ダチョウの羽の扇を持つ女性の肖像
1660  Oil on canvas 99.5 x 82.5 cm  ワシントン・ナショナル・ギャラリー
レンブラントは肖像を描いただけだろうか?

この女性の物悲しい雰囲気と、なにか秘かな小さな楽しみを待っているような表情。
思わず、彼女の人となりに繋がる物語を探したくなる。

自画像
1661 Oil on canvas  114 x 94 cm  English Heritage, Kenwood House, London

織物商組合の見本調査官たち
1662  Oil on canvas  191.5 x 279 cm  アムステルダム国立美術館

放蕩息子の帰還
1662  Oil on canvas  262 x 206 cm  エルミタージュ美術館

ユダヤの花嫁
1666  Oil on canvas  アムステルダム国立美術館
衣装の豪華さ、美しさにもかかわらず、雰囲気や感情の純粋さがとても伝わる絵画である。

妻の胸にかかる鎖に、大切そうに手を添える夫。鎖はつなぐものである。

夫の表情は優しく、決して男の勝利を漂わせているわけではない。
にもかかわらず、女性は少し不安そうである。なぜか?
愛の姿に不安になっているのである。

「愛する」「愛される」、「受け取る」「与える」こういったことの責任を推し量っている。

彼女の手がお腹に触れている。結婚の最終的な責任は子供を持つこと。

愛はつなぐもの。愛は重いのである。

こういった深い真理をレンブラントの洞察力は見逃さない。

自画像
1669  Oil on canvas  86 x 70.5 cm  ロンドン・ナショナル・ギャラリー

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