ピーテル・ブリューゲル
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Pieter Brueghel the Elder (1525-1569)
フランドル  北方ルネサンス

デューラーと並び北方ルネサンスを実現し、近代絵画の原点を創ったのが、ブリューゲルである。「農民画家」と呼ばれた。現在のベルギー、リンブルク州に生まれたと推定される。
「農民」という異名は、ブリューゲルには似つかわしくない。彼は見識豊かな教養人であった。
フランス、イタリアへ旅したにもかかわらず、古典的な理想の姿を追求する、イタリア的なところは少しもない。彼の作品にはボッシュの空想力、パティニールの敬虔で大きな風景の影響が強く現れ、北方の伝統が色濃い。

イカロスの墜落のある風景
1558 Oil on canvas, mounted on wood  73.5 x 112 cm  ブリュッセル王立美術館

ネーデルランドの諺
1559 Oil on oak panel  117 x 163 cm  ベルリン国立絵画館

謝肉祭と四旬節の喧嘩
1559 Oil on oak panel 118 x 164.5 cm  ウィーン美術史美術館

子供の遊戯
1560 Oil on oak panel  118 x 161 cm  ウィーン美術史美術館

悪女フリート
1562 Oil on panel 117.4 x 162 cm  マイヤー・ヴァン・デン・ベルフ美術館 アントウェルペン

死の勝利
1562 Oil on panel  117 x 162 cm  プラド美術館 マドリード

バベルの塔         主題解説:聖書の物語へ行く
1563 Oil on oak panel 114 x 155 cm   ウィーン美術史美術館

『バベルの塔』は恐ろしいほど複雑である。高慢な権威に縛られた人間を、小さく描き、巨大な建造物の中で働く者たちを、まるで、アリのように、小さく小さく描いている。

これがバベルの塔である。我々の狭い見識の現れである。哀れで、うぬぼれた人間である。

ブリューゲルは、高い教養を持ち、知的に洗練された画家である。神話や伝統への洞察力は学者並みである。

彼の『バベルの塔』は、単なる、聖書の物語のイラストではない。

ブリューゲルは決して、表面的な浅い絵を描かない。いつも深いものを描いた。ギリシャ神話の『イカルスの堕落』だろうと、聖書の『バベルの塔』だろうと、深く、意味を掘りさげて描いた。

バベルの塔       主題解説:聖書の物語へ行く
1563  Oil on panel  60 x 74.5 cm  ポイマンス=ファン・ブニンヘン美術館  ロッテルダム

東方三博士の礼拝        主題解説:聖書の物語へ行く
1564 Oil on canvas 111 x 83.5 cm   ロンドン・ナショナル・ギャラリー

穀物の収穫
1565 Oil on wood 118.1 x 160.7 cm  メトロポリタン美術館
雪中の狩人
1565  Oil on panel  117 x 162 cm  ウィーン美術史美術館

鳥わなのある冬景色
1565 Oil   38 x 56 cm  デルポルト・コレクション  ブリュッセル

鳥わなは、「わなに落ちる」「欺かれる」の意味をもち、寓意画ともなっている。

画家と買い手
1565 Pen and black ink on brown paper 25 x 21.6 cm  Albertina, Vienna

農民の踊り
1568 Oil on oak panel  114 x 164 cm  ウィーン美術史美術館

農民の婚姻
1568 Oil on wood 114 x 164 cm  ウィーン美術史美術館



ブリューゲルの「農民画家」という異名は、農民を多く描いた点にある。それらの作品は風刺的だと言う人もいれば、哀れみ、愛情深いとする人もいる。

『農民の婚礼』で、粗野でまのぬけた客たちが取り囲んでいるのは、丸々として愚かそうな顔の花嫁である。紙で作った王冠の天蓋の下で酒を飲んで赤い顔をしている。

痛ましい姿である。貧しい家庭に育った娘。彼女の長い人生の内の、たった数時間の栄光である。

客たちは粗末な小屋で、粗末な食器でふるまわれるポリッジ(かゆ)か、カスタードをがつがつ食べている。貧しい者たち、しいたげられた者たちの哀れな祝杯。

子供が、空になった皿を、おいしそうになめつくしている。

楽器の演奏者たちは、食事を受け取るまで演奏しなくてはならない。本当にお腹が空いているのである。じっと運ばれてくる食べ物を見つめている。

無神経にこの絵を眺めていると、農民のこっけいな姿の絵にしか見えない。まるで道徳のテストのようでもある。しかし、見落としてはいけない

単に堕落した労働者階級をユーモアを持って描いたのではない。ブリューゲルの深さを理解しなくては、我々自身がダメになってしまうような、厳しい絵なのである。

乞食たち
1568  Oil on wood, 18 x 21 cm  ルーヴル美術館
カーニバルに出かけようとする乞食たちを描いている。解釈に関しては諸説あり、定まっていない。

支配者の腐敗への告発という説もあれば、この5人の乞食はそれぞれ、王、僧侶、兵士、ブルジョワ、農民を象徴しているという説もある。衣服に付いているキツネのしっぽは、「乞食党」という、当時、スペインの圧制に反抗した集団の象徴だという説などある。

盲人のたとえ
1568 Tempera on canvas, 86 x 154 cm   ナポリ、国立カポディモンテ美術
新約聖書、マタイ伝から主題をとっている。

「もし盲人が盲人を手引きするなら、二人とも穴に落ちこむであろう」というものである。

背景にある教会は救済を意味する。盲人たちは、教会に背を向けて歩いている。



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